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「なぜあの人がマネージャーに?」に答えられる-客観指標があれば、昇進・昇格の説得力が増す-【前編】

2023年06月01日 マネジメント/管理職とは 管理職登用

「自社の昇進・昇格基準があいまいで、声の大きい推薦者がいる部署の社員ばかりが昇格している」「ハイパフォーマンスを上げている人材をマネージャーとして登用したものの、マネジメントに苦戦しているようだ」

いつの時代も管理職は、企業の成長・社員の成長を左右する要の存在でしょう。特に"変化の時代"と呼ばれる昨今では、仕事が複雑化していることもあり、マネージャーとしての役割を果たしきれていない人も多く見かけるようになりました。

キャリアの観点でも、管理職を取り巻く環境は難しさが増しています。
「多様な働き方」や「ワーク・ライフ・バランス」などの広がりにより、マネージャーへの昇進を希望しない若手も増えています。多くの人事担当者は次代を担うマネージャー(課長層)候補者不足に危機感を抱いているでしょう。
一方、自社の昇進・昇格運用に頭を悩ませつつも、管理職に関する事項はセンシティブなため、参考になるような他社事例が見つからないという声も聞かれます。 

今回は、多くの企業の昇進・昇格制度をご支援してきた立場から、マネージャーの活躍を難しくしている要因、またその状況で真に活躍するマネージャーを選ぶポイントをお伝えします。自社の昇進・昇格運用をチェックする際の参考にしていただければ幸いです。

昨今のマネージャーを取り巻く苦しい状況

マネージャーとして活躍する人材を考えるためには、まずは昨今のマネージャーを取り巻く状況を正しく把握する必要があります。前提として、数年前からVUCAワールド(めまぐるしく変化し、先行き不透明なビジネス環境)が広がっており、管理職のみならず、非管理職でも正解がない状況の下、成果をあげなくてはならない状況が増えています。

加えて、マネージャーとして活躍してもらうためには、プレイヤーからマネージャー(課長層)への意識・行動面でのトランジション(移行)をさせる必要があるのです。自ら動いて成果を上げるプレイヤーと異なり、マネージャーはメンバーの力を引き出して成果を上げる必要があり、求められる意識・行動・スキルは当然違うものです。 

多くの企業を悩ます「名プレイヤー、必ずしも名監督にあらず」現象といえるでしょう。

では、マネージャーにはどのような力が必要となるのでしょうか。弊社の調査によると、人事担当者が感じる現任マネージャー層の課題として1位に挙がったのは、「管理能力・専門性(知識、技術)が期待する水準に達しない者が一定数いる」こと(図表1)。続いて2位は、「管理職としての組織の立ち上げ(職務割り当て・組織づくり)がうまくいかない者が一定数いる」こととなっています。

図表1 管理職層(課長職)において、現在どのような問題を感じていますか。
あてはまるものすべてを選んでください。
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2018年リクルートマネジメントソリューションズ調査

この結果から、組織マネジメントに対する基礎的な知識や技術がないままマネージャーに任命され、それゆえに、うまく組織を立ち上げられず苦戦している状況がうかがえます。 

そんなマネージャーの苦労を見ているからか、マネージャーになりたがるメンバー層も年々減っています。「ワーク・ライフ・バランス」や「働き方改革」が浸透し始め、若手社員を中心に働くことに対する価値観の多様化が広がっているのも一因です。

「マネージャーになってストレスが増えるくらいなら、給料が変わらなくても現状のままでいい」と考える人や、プレイング業務そのものにやりがいを感じている人が増えてきているのでしょう。

マネージャーに対する期待が大きくなっている一方で、志望者は減っている苦しい環境といえます。

登用後の育成だけでは、活躍が難しい時代

マネージャーとしての活躍の難しさには、昨今の企業内での人員構成のいびつさも影響しています。

今回の調査では自社の年齢構成について、「若年齢層と高年齢層の構成比率が大きく、中間層の構成比が小さい(ワイングラス型)」と回答している企業が47.2%と約半数を占めました。 つまり「後輩が少なく、人の育成をあまり経験していない」もしくは、「課長代理などのプレマネージャー経験がない」状態で一般社員時代を過ごし、マネージャーに登用されたという人が多いといえます。

もちろん、ほとんどの企業はマネージャー登用後、その育成・フォローに取り組んでいます。調査結果によると実施内容としては、「当該階層に期待される役割・能力開発研修」「経営層、上長や人事部門による面談・面接」「上長や関係者による職場内でのOJT」の3つが一般的なようです(図表2)。

図表2 登用後にどのような育成施策を実施していますか。
現在活用している方法、および今後導入を考えているものをすべて選んでください。
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2018年リクルートマネジメントソリューションズ調査

手厚くフォローをしているつもりでも、前節の調査のように「マネジメント基礎力が足りない」状況があるのです。実際、2015年に弊社が行った調査によれば「管理職の5人に1人が適応できていない(参考記事:新任マネージャーのほとんどがトランジションに苦労している)」状況にあります。

つまり、マネージャーになってさまざまなフォローを受けても、本人が手ごたえを感じられず、結果的にマネジメント成果も出ていないということです。

これは、マネージャーの昇進・昇格にあたって育成支援を手厚く行うことは大切であるのに加え、"マネージャーとして活躍する可能性が高い人材を見極めること"が大事であることを示唆しているのではないでしょうか。

マネージャーの人材要件は、実はあいまいになりがち

ではマネジメントに向いている、素養がある人はどのように見つければいいのでしょうか。マネージャー候補者を選ぶ立場の人事担当者が、自社の昇進・昇格について課題に感じている点を調査しました。

図表3 あなたの会社では「昇進・昇格運用」において、どのような問題があると認識されていますか。
あてはまるものをすべて選んでください。
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2018年リクルートマネジメントソリューションズ調査

今回の調査結果で最も多かった答えは「現管理職の後に続く人材が枯渇してきている」、次いで「昇進・昇格要件(基準)があいまいで納得性がない」、以下「管理職全体の質(レベル)が低下してきている」「発言力の強い部門や部門長の影響を強く受ける」と続いています(図表3)。

 「マネージャー候補層の枯渇」というのは、そもそも人数が少ないだけではなく、前述したようなプレマネージャー経験がないといった状況から、量・質両面の問題があると考えられます。

 また「昇進・昇格要件(基準)があいまいで納得性がない」「発言力の強い部門や部門長の影響を強く受ける」については、候補者だけでなく制度として昇進・昇格運用に問題がある点を浮き彫りにしています。会社として「自社の管理職として活躍できる人材要件」が不明確なままでは、ただでさえ少ない管理職候補群から、向いている人を見つけようがありません。

残念なことに、実はこのような企業は意外と多いものです。

新卒採用での「求める人材像」は精緻に設定するものの、企業の成長を左右する責任を負うマネージャーについては、クリアな人材像や基準がないケースが散見されます。

現場の評価とマネージャーの資質は別問題

そうはいっても、昇進・昇格の基準がまったくないという企業は少ないでしょう。

ただし、その基準は多くは「過去の実績」「現場からの推薦」などで、マネージャーとしての活躍を客観的に予想できるものではないのです。

名プレイヤー、必ずしも名監督にあらず」現象が如実に示しているように、プレイヤー時代の実績はマネージャーとしての活躍とイコールではありません。

例えば、プレイヤーとしての成果は物足りないものの、周囲への配慮に長け、ナレッジマネジメントなどの組織貢献に定評のある人がいたとします。そのような人がマネージャーに就任すれば、組織力の底上げができる名監督になれる可能性があります。

しかし「過去の実績」が基準であれば、マネージャー候補者として名を連ねることはないでしょう。
つまり、「管理職としての活躍とは何をさすのか」を明確にし、具体的な基準として言語化する必要があるのです。

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「なぜあの人がマネージャーに?」に答えられる-客観指標があれば、昇進・昇格の説得力が増す-【後編】

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